チョコレート・ココアの歴史
チョコレートの始まりは紀元前
チョコレートが生まれたのは紀元前、メソアメリカという地域が発祥といわれています。
メソアメリカとは、現在のメキシコ南部、中央アメリカなどの地域です。
その昔、農耕文化、マヤ文明、アステカ王国など、独自の高度な文明が繁栄しました。
マヤ文明(4〜9世紀頃)
マヤ族はカカオを貨幣として利用し、儀式では神への捧げものとして重要な役割を果たしていました。
上層階級の結婚式ではカカオ飲料が現代のシャンパンのような役割をしていたと推測されます。
アステカ王国
アステカ族は14世紀にテノチティトラン(現在のメキシコシティ)を首都としてアステカ王国を建設しました。各地から産物を年貢(一種の税)として納めさせましたが、カカオの産地の人々はカカオ豆で納めていました。
スペインへ伝わったカカオ
アステカの特権階級の嗜好品であったカカオ飲料が庶民に広がったのは、アステカ王国が滅びスペインの植民地(新スペイン)になってからです。
アステカ王国滅亡後も新スペイン各地からカカオの貢納は続き、スペイン人がそれを受け取りました。
正確なルートや年月は分かっていませんが、貴族・軍人・聖職者・官僚・商人などの様々な人の往来がありました。これらの多様なルートを通じて、新スペインで庶民にまで広がっていたチョコレート飲料がスペイン本国に伝わったと考えられています。
カカオの用途
アステカ人社会において、カカオは高級なものとされており、
・儀式の捧げもの
・薬
・交易品
・貨幣
・飲み物
など、幅広い役割を持っていました。
カカオが貴重だったのは生産地が限られ、容易く手に入れることができないだけでなく、
カカオ豆自体が堅く、簡単に腐ったり潰れたりしないことから、交易のために長距離を移動させることができました。そのため、輸送途中に泥棒に襲われないために戦士が護衛についたほどでした。
飲み物から食べ物へ
チョコレートは長い間飲み物として愛されてきましたが、ココアバターが入っているため大変濃厚で、飲みやすいものではありませんでした。そのため、チョコレートを飲む際には脇に水が添えられていたほどです。
しかし、1800年代になると多くの技術革新が行われたことにより、カカオ液(カカオマス)からココアバターを抽出する油圧式の圧搾機が開発されました。この技術により、カカオ豆に50%以上含まれていたココアバターを28%程度までに減らすことができるようになり、「食べるチョコレート」が考案されました。
さらに、カカオマスは砕いて粉末状にすることで、お湯に溶けやすいココアパウダーになり、飲み物として売りやすくなりました。
こうして、技術の発展と共にカカオも姿を変え、現在のチョコレートやココアが生まれたのです。
チョコレートを丁寧に味わおう
何千年も前に生まれ、世界中を旅しながら形を変え、私たちの身近な存在として親しまれるようになったチョコレート。今日は、あなたのお気に入りの1本を手に取って、歴史を感じながらゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。